2歳頃になると、突然おもちゃや身近な物を投げるようになる子が多く、戸惑う保護者も少なくありません。「どうして急に物を投げるの?」「このままでも大丈夫?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。実は、2歳児が物を投げる行為には、発達や感情表現など、さまざまな理由があります。
本記事では、2歳の子どもが物を投げる理由や対処法についてご紹介します。また、物投げをやめさせたい場合のNGな対応についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2歳の子どもが物を投げるのはなぜ?
まず、2歳の子どもが物を投げる理由についてご紹介します。
- 成長の一環としての行動
- 癇癪(かんしゃく)を起こしている
- パパママの注目を引きたいという気持ちの表れ
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
成長の一環としての行動
2歳前後の子どもは、筋力や運動機能の発達により、物を投げるという行動に興味を示し始めます。周囲の反応や音の変化にワクワクしながら、試すように何度も繰り返す姿が見られるのもこの時期ならではの特徴です。
これは意図的ないたずらではなく、感覚を確かめるための自然な行動です。保護者は頭ごなしに注意するのではなく、危険のない範囲で試せる環境を整えてあげることが大切です。
癇癪(かんしゃく)を起こしている
2歳児は、自分の感情をうまく言葉で伝えるのが難しいため、もどかしさや怒りが「物を投げる」という行動として表れる場合があります。たとえば、遊びがうまくいかなかったり、大人に気持ちを理解してもらえなかったりすると、そのフラストレーションが衝動的な行動に変わります。
この時期の子どもにとっては自然な反応であり、叱る前にまず「悔しかったね」などと気持ちを汲み取ってあげることが、情緒の発達を支える大切な関わり方です。
なお、イヤイヤ期がひどい子の特徴については、こちらの記事でご紹介しています。
パパママの注目を引きたいという気持ちの表れ
2歳頃の子どもが物を投げる行動には、「自分を見てほしい」という思いが隠れている場合があります。保護者の関心を引くために、注目されやすい手段として物を投げる行為を選んでいるのです。
とくに、家庭内で弟妹が増えたり、大人が忙しくてかまってもらえない状況が続くと、このような行動が強まるケースがあります。単に叱るのではなく、短い時間でも子どもと向き合う機会を持つことで、安心感を育み、行動の改善につながる場合があります。
2歳の子どもの物投げをやめさせたい場合の対処法は5つ
次に、2歳の子どもの物投げをやめさせたい場合の対処法についてご紹介します。
- 子どもの気持ちに共感する
- 投げるのが良くない理由を教える
- 「投げていいもの」と「ダメなもの」を明確にする
- 落ち着いて冷静に対応する
- 子どもの関心を逸らせる
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
子どもの気持ちに共感する
子どもが物を投げたときは、すぐに叱るのではなく、まずその気持ちに寄り添うことが大切です。「できなくてイヤだったんだね」と声をかけてあげれば、子どもは気持ちを受け止めてもらえたと感じ、安心感を得られます。
こうした共感のやりとりは、感情のコントロールを学ぶ大切な土台です。また、大人の代弁によって、子どもは自分の気持ちに言葉を当てはめる経験を重ね、少しずつ感情表現を身につけていきます。
なお、思い通りにならないと泣く子どもへの対処法については、こちらの記事でご紹介しています。
投げるのが良くない理由を教える
子どもが気持ちを落ち着けた後には、「なぜ物を投げてはいけないのか」を丁寧に伝える時間を持ちましょう。2〜3歳になると、身近な例を交えて説明すれば理解できる力が育っています。
「おもちゃが壊れたら遊べなくなるよ」「お友だちに当たったらびっくりしちゃうよ」など、子どもがイメージしやすい言葉で伝えてあげることが大切です。正しい行動を学ぶには、感情が落ち着いているタイミングで、優しく具体的に教えるのが効果的です。
「投げていいもの」と「ダメなもの」を明確にする
「投げること=悪いこと」と一括りにせず、状況に応じて区別することが大切です。たとえば、「クッションボールは公園で投げていいけど、ブロックは投げないよ」といった具体的なルールを伝えると、子どもは行動の区別を学びやすくなります。
すべてを制限するのではなく、安全に楽しめる遊びとして投げる動作を取り入れることで、子どもの発達を促しながらルールを自然に身につけていける環境を整えてあげられます。
落ち着いて冷静に対応する
子どもが物を投げたときは、大人の反応がその後の子どもの気持ちに大きく影響します。大声で叱るのではなく、まずは気持ちを落ち着けて、穏やかに接する姿勢が大切です。
「これは投げると危ないよ」と静かに伝えてあげれば、子どもも安心して話を聞く姿勢になります。大人の落ち着いた態度は、子どもにとって感情を整えるお手本となり、安心できる環境のなかで行動を学んでいく経験につながります。
子どもの関心を逸らせる
子どもが物を投げそうな場面では、さりげなく興味の対象を別に向ける工夫が役立ちます。たとえば、お気に入りのおもちゃを見せたり、歌を口ずさんで一緒に手遊びを始めたりすれば、注意が自然とそちらに移る場合があります。
無理にやめさせようとするよりも、気持ちを切り替えられるような誘導が効果的です。子どもの集中の分散により、落ち着いた行動に導きやすくなり、親子の関係もスムーズに保てます。
物投げをやめさせたい場合のNGな対応は3つ
次に、物投げをやめさせたい場合のNGな対応についてご紹介します。
- 頭ごなしに怒鳴って注意する
- 無理にやめさせる
- 無視し続ける
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
頭ごなしに怒鳴って注意する
子どもが物を投げてしまったときは、感情的に叱るのではなく、冷静に向き合う姿勢が大切です。大声で怒鳴ると、子どもは怖がるだけで行動の意味を理解できず、不安が増してしまいます。
「投げたら危ないよ」「壊れちゃうからやめようね」と、短く分かりやすい言葉で理由を伝えてあげれば、少しずつ理解が進みます。落ち着いた態度で繰り返し伝えることで、子どもも安心し、次第に自分の行動を振り返れるようになります。
なお、子育てのイライラが抑えられないと悩んでいる方は、こちらもチェックしてみてください。
無理にやめさせる
子どもが物を投げようとしたとき、力ずくで止めようとすると、かえって反抗心を刺激してしまう場合があります。「やめなさい」と押さえつけるよりも、「どうしたの?」「困ってるのかな?」と気持ちを聞いてあげる姿勢が効果的です。
子どもが「自分の気持ちを分かってもらえた」と感じることで、安心感が生まれ、行動も落ち着きやすくなります。強制ではなく対話を通じて、気持ちのコントロールを促していくことが大切です。
無視し続ける
子どもが物を投げるたびに対応するのは大人にとって負担ですが、放置してしまうと逆効果になる場合があります。注意されないことで「やってもいい」と受け取ったり、逆に関心を引こうとして行動がエスカレートしたりする場合もあります。
大切なのは、落ち着いた態度で一貫して「投げてはいけないよ」と伝え続ける姿勢です。このような対応を繰り返すなかで、子どもは少しずつルールを理解していきます。無視ではなく、適切な対応を積み重ねていきましょう。
まとめ
本記事では、2歳の子どもが物を投げる理由や対処法、物投げをやめさせたい場合のNGな対応についてご紹介しました。
2歳の子どもが物を投げる行動は、発達や感情表現の一環として見られるケースが多く、決して珍しいことではありません。叱る前に子どもの気持ちに目を向け、「投げていい物」と「いけない物」の区別を教えてあげることが大切です。
冷静な声かけや、安全に遊べる環境づくりを通じて、投げる行為は徐々に落ち着いていきます。成長のサインとして捉え、焦らずに向き合っていきましょう。