「指しゃぶりする子の特徴で調べたら、愛情不足って出てきたけど、本当なの?」「歯医者で歯並びのことを言われて焦っている…」お子さんの指しゃぶりを見ると、ご自身の育て方が原因ではないかと不安になりますよね。
でも、安心してください。指しゃぶりは愛情不足が直接の原因であることは稀で、多くは発達過程での自然な姿や癖、不安な気持ちの表れです。大切なのは、なぜ指しゃぶりをするのか理由を理解し、お子さんに合った方法で卒業をサポートすることです。
私自身、歯医者で何度も指摘され悩んだ末に、長女と試した具体的な方法が以下の3つです。
・方法①絵本「ゆびたこ」で意識を変える
・方法②指しゃぶり・爪噛み防止マニキュアで癖にアプローチする
・方法③指しゃぶり防止手袋「おしゃぶりガード」で物理的に防ぐ
この記事では、指しゃぶりをする本当の理由と、私の体験談を踏まえた具体的な卒業ステップ、歯並びなどのリスクについて詳しく解説します。
指しゃぶりする子の特徴とは?愛情不足ではない4つの本当の理由
子どもが指しゃぶりをする姿を見て「愛情が足りないのでは?」と不安になる方もおられるかもしれません。しかし、指しゃぶりは多くの子どもに見られる自然な行動であり、その理由は一つではありません。
私の長女の場合、指しゃぶりの原因は「癖」と「不安」の混合型でした。眠くなると必ず指をしゃぶり、日中でも手持ち無沙汰になると無意識に口へ…。
愛情不足と決めつける前に、お子さんがなぜ指しゃぶりをしているのか、その背景にある5つの主な理由を見ていきましょう。
理由①発達段階の自然な姿
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる時から指しゃぶりをしています。これは「吸啜(きゅうてつ)反射」という、生まれながらに持つ反射行動の一つです。
赤ちゃんにとって口は、周囲の世界を認識するための非常に敏感なセンサーとしての役割があります。指しゃぶりによって、自分の体の場所を確認したり、精神的な安らぎを得たりしています。1〜2歳頃の指しゃぶりは、こうした発達の延長線上にある自然な姿です。
理由②癖(手持ち無沙汰)
特別な理由がなく、手持ち無沙汰な時や退屈な時に、習慣として指しゃぶりが出てしまうケースもあります。乳児期に安心感を得るために行っていた行動が、特定の状況と結びついて癖として残るのです。
テレビを見ている時、車での移動中、ぼーっとしている時などに無意識に指が口に行ってしまうのは、大人でいう貧乏ゆすりや髪を触る癖と似たようなものです。
私の子どもも、まさにこのパターンでした。テレビを見始めると決まって親指が口に入り、声をかけるとハッとしてやめる。でも、物語に集中すると5分後にはまたしゃぶっている…という繰り返しで、本人に悪気がないだけに注意するのも難しかったです。
理由③不安やストレスのサイン
新しい環境(保育園の入園など)や、弟や妹が生まれた時、お母さんやお父さんに叱られた後など、子どもが不安やストレスを感じている時に指しゃぶりは増える傾向があります。
指しゃぶりには、自分自身を落ち着かせ、安心感を得ようとする「セルフ・スーシング(自己鎮静)」の役割があります。子どもなりに、心のバランスを取ろうとしているサインと捉えられます。
理由④眠い時やリラックスしたい時
眠くなってくると、決まって指しゃぶりを始めるお子さんも多いです。子どもは大人と違い、自分でスムーズに眠りに入るのが苦手です。指しゃぶりは、お母さんのおっぱいを吸う時のような安心感を作り出し、心拍数を落ち着かせる役割があります。
お気に入りのタオルやぬいぐるみと一緒で、指しゃぶりが「眠りスイッチ」のような安心材料になっているのです。私の長女も、この入眠儀式としての指しゃぶりが最後まで抜けませんでした。
無理に指を抜くと起きてしまうので、眠りが深くなるまで待ってそっと外したこともありましたが、これには根気がいりました。
指しゃぶりの卒業をサポートする3つの方法
お子さんの気持ちに寄り添うことと並行して、指しゃぶり卒業を具体的にサポートする方法もあります。私自身も悩み、最終的に試した3つの具体的な方法を紹介します。
方法①絵本「ゆびたこ」で意識を変える
言葉での説明が難しい年齢のお子さんには、絵本を通して「指しゃぶりをやめたい」という気持ちを育む方法があります。くせさなえさん作の絵本「ゆびたこ」(ポプラ社)は、指しゃぶりをやめられない女の子と、指にできた「ユビタコ」のお話です。
ポプラ社が実施したアンケート調査では、この絵本を読んだ子どもの約7割が指しゃぶりに効果を実感したという結果も出ています。
引用:今だからやめさせたい子どもの癖1位は「ゆびしゃぶり」。絵本「ゆびたこ」を読んだ約7割の子どもたちが効果を実感! | 株式会社ポプラ社のプレスリリース
◆筆者も長女に試してみた絵本「ゆびたこ」
実は私も、当時4歳だった長女に試してみました。言葉で「歯並びが悪くなるからダメ」と言っても響かなかったので、この絵本に期待したのです。正直に言うと、うちの長女には残念ながら効果はありませんでした。絵本自体は楽しんでいましたが、怖がることもなく、指しゃぶりの癖は変わらず…。
ただ、お子さんの性格によって合う、合わないがあり、多くの子どもがこれをきっかけに卒業できているのも事実です。「うちの子にはハマらなかった」という一つの体験談としてご紹介しますが、試してみる価値は十分にある方法です。
方法②指しゃぶり・爪噛み防止マニキュアで癖にアプローチする
物理的に指しゃぶりを防ぐ方法として、苦味成分を含んだマニキュアがあります。たとえば、「かむピタ」という商品は、誤飲防止にも使われる苦味成分(安息香酸デナトニウム)を配合した日本製のマニキュアです。
開発者自身が子どもの爪噛み癖に悩んだ経験から生まれ、オーガニックの保湿成分も配合されています。除光液が不要で、消毒用アルコールで落せるため、お子さんの爪に優しい設計になっています。
絵本が効かなかった長女に、次の手としてこれを試してみました。ただ、夜中にあの苦い味で起きて泣き出してしまうのが怖くて、夜の寝る前には塗れませんでした。
そこで、まずは日中の癖から試そうと、お昼寝の前に塗ってみたのですが、いつものように指を口に運んだ瞬間に「にがっ!」となり、本人もびっくりしていました。その日のお昼寝では、初めて指しゃぶりをせずに眠ることができました。
日中の無意識の癖に「苦い」という意識を結びつける、良いきっかけになったと感じています。
方法③指しゃぶり防止手袋「おしゃぶりガード」で物理的に防ぐ
より小さなお子さんや、夜間など無意識に指を口に運んでしまう場合には、物理的にしゃぶれなくする手袋(おしゃぶりガード)も選択肢の一つです。
「おしゃぶりガード」は、食品医療グレードのメッシュ素材や、肌触りの良いRPET素材を使用しており、生後6ヶ月から使用できるとされています。
◆筆者が効果を実感した「おしゃぶりガード」
私の長女は最初は嫌がりましたが、これを着けて寝るのを2週間ほど続けたところ、夜中に指を口に運ぶ癖がなくなりました。我が家の場合は、日中はマニキュア、夜間は手袋、という使い分けが卒業の決め手になりました。
なお、「おしゃぶりガード」は、さまざまなメーカーから販売されていて、親指だけを覆うタイプや、人差し指もカバーするタイプなど、お子さんの癖に合わせて選べるようになっています。
指しゃぶりが長く続く場合の3つのリスク
指しゃぶりは自然な行動ですが、長期間続くといくつかの心配な点も出てきます。私自身が最も心配していた歯並びへの影響を含め、主な3つのリスクについて解説します。
リスク①歯並び(開咬・出っ歯)への影響
指しゃぶりを長期間続けていると、上の前歯が前に押し出され「出っ歯(上顎前突)」になったり、奥歯をかんでも前歯がかみ合わない「開咬(かいこう)」になったりするリスクがあります。
小児科と小児歯科の保健検討委員会では、指しゃぶりによる歯並びへの影響は3歳頃までにやめれば自然に治る可能性が高いとしていますが、4歳や5歳頃まで続くと、歯並びの矯正が必要になるケースが増加傾向にあると指摘しています。
引用:指しゃぶりについての考え方|小児科と小児歯科の保健検討委員会
私もこれが一番の心配事で、長女が4歳を過ぎてからは、3ヶ月に一度の歯医者の定期検診が本当に憂鬱でした。「まだ指しゃぶりされてますかね。このままだと前歯、開いてきちゃいますよ」と毎回のように指摘され、母親として「ちゃんとやめさせられていない」と責められているようで、嫌な思いをしたのを覚えています。
リスク②発音(サ行・タ行)への影響
指しゃぶりによって前歯がかみ合わない「開咬」になると、その隙間から息が漏れやすくなります。その結果、「サ行」や「タ行」が「シャ行」や「チャ行」のように聞こえる、いわゆる「舌足らず」な発音になる場合があります。
うまく話せないことが本人のコンプレックスにつながる可能性もあるため、これも歯並びの問題と連動して起こりやすいリスクの一つです。
リスク③感染症や指の変形
子どもの指はいろいろな場所を触るため、雑菌やウイルスが付着しやすい部分です。指しゃぶりによって、それらの病原体を直接口の中に運んでしまい、風邪や胃腸炎などの感染症にかかるリスクが高まります。
また、長期間同じ指を吸い続けることで、指に「吸いダコ」ができたり、爪が薄くなったり変形してしまったりする場合もあります。私の長女も、指しゃぶりをやめるまでは親指の先に小さなタコができていました。
なお、子どもの指にできる「吸いだこ」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
指しゃぶりする子の特徴でよくある3つの質問
ここでは、指しゃぶりに関して多くの保護者の方が疑問に思う質問をご紹介します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問①無理やりやめさせても良い?
無理やりやめさせるのは逆効果になる可能性が高いです。私自身、最初は「ダメ!」と厳しく叱ってしまい、長女が隠れてしゃぶったり、かえって不安そうになったりして反省しました。
厳しく叱られると、子どもは「悪いことをしている」と不安になり、よけいに指しゃぶりに依存してしまいます。まずは気持ちを受け入れ、なぜ指しゃぶりをするのか背景を探ることが大切です。
質問②防止グッズ(マニキュアや手袋)はいつから使える?
使用するグッズによって対象年齢や推奨される時期が異なります。「おしゃぶりガード」のような防止手袋は、記事で紹介した製品のように生後6か月頃から使用できるものもあります。
ただし、お子さんが嫌がったり、就寝中に他の危険がないか(例:窒息など)は、保護者の方が注意深く見守る必要があります。また、「かむピタ」のようなマニキュアは、成分自体は誤飲防止などに使われるものですが、個人的には言葉がある程度理解でき、「これは苦いからやめる」と本人が認識できる2歳半~3歳頃からが使いやすいと感じました。
使用前には、必ず対象年齢を確認し、アレルギーなどがないかパッチテストを行うことをおすすめします。
なお、指しゃぶりでも使用できるおすすめの「爪噛み防止マニキュア」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
質問③発達障害との関係はある?
「指しゃぶり=発達障害」ではありません。指しゃぶりは、発達障害の有無に関わらず、多くの子どもに見られる行動です。
ただし、極端に長く続く場合や、指しゃぶり以外にもこだわりが強い、コミュニケーションが取りづらいなど、ほかに気になる様子が見られる場合は、かかりつけの小児科医や地域の保健センターに相談してみることをおすすめします。
「愛情不足かも」と悩まずに、お子さんに合う卒業法を見つけてみよう!
お子さんの指しゃぶりは、愛情不足のせいではありません。発達の過程であったり、不安な気持ちを自分で落ち着かせようとしていたりする、お子さんなりの理由があるのです。
私自身、長女の指しゃぶりに悩んでいた時は、「愛情が足りないのかも」と自分を責め、歯医者で指摘されるたびに焦っていました。
大切なのは、その姿を受け入れ、お子さんの性格や状況に合わせて卒業をサポートする方法を取り入れることです。私自身、歯医者で何度も指摘され悩んだ末に、長女と試した具体的な方法が以下の3つです。
・方法①絵本「ゆびたこ」で意識を変える
・方法②指しゃぶり・爪噛み防止マニキュアで癖にアプローチする
・方法③指しゃぶり防止手袋「おしゃぶりガード」で物理的に防ぐ
我が家のように、日中と夜間で方法を使い分けるのも一つの手です。また、卒業を焦るあまり、親が神経質になるのが一番良くありません。
指しゃぶりを叱る代わりに、日中に手を使う遊び(粘土、ブロック、お絵描きなど)に誘ったり、寝る前に手をつないであげたりするのも、安心感を与えるのにとても効果的です。
必ず卒業できる日が来ます。一人で抱え込まず、お子さんに合った方法を試しながら、焦らずに見守っていきましょう。

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