「絵本の読み聞かせの効果は本当?」「良い読み聞かせの方法を知りたい」と、あなたがこのページにたどり着いたのは、子どもの成長に真剣に向き合っている証拠です。子どもの成長を願う親御さんにとって、読み聞かせが本当に子どもの脳や心に良い影響を与えるのかどうかは、非常に重要な関心事ですよね。
断言します。 絵本の読み聞かせは、子どもの「語彙力」や「集中力」といった知的能力だけでなく、「情緒の安定」や「親自身の育児ストレス軽減」にもつながる、極めて効果の高い方法です。
なぜなら、この記事で事例としてご紹介する研究結果で、「語彙力」や「ワーキングメモリ」の向上が科学的に証明されているからです。
この効果を最大限に高めるため、この記事では3つのステップを詳しく紹介します。
・ステップ①子どもの発達段階に合わせた絵本を選ぶ
・ステップ②物語の展開に合わせて声のトーンとスピードを変える
・ステップ③読み聞かせ後に感想や質問で対話をする
これらの具体的な方法を通じて、あなたは無理なく、子どもの成長を促す読み聞かせ術を身につけられます。
研究結果で証明済み!絵本の読み聞かせの効果を証明している3つの事例
「絵本の読み聞かせは本当に効果があるの?」という不安は、ここで解消してください。絵本の読み聞かせが子どもの「語彙力」や「集中力」といった知的能力を飛躍的に伸ばし、さらに「親子の心の安定」にもつながることが、最新の研究によって証明されています。
ここでは、あなたの読み聞かせの努力が報われる、研究で裏付けられた3つの具体的な事例をご紹介します。
事例①絵本に含まれる言葉の種類は日常会話の約1.71倍!語彙力向上を裏付ける事例
絵本の読み聞かせは、日常会話の約1.71倍にあたる「言葉の多様性」を持つため、子どもの語彙力を飛躍的に向上させるという研究結果があります。この事実は、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が大規模な「NTT絵本コーパス(言語表現を集積、整理した言語データ)」を活用し、絵本100冊分のデータと日常会話を比較することで裏付けられました。
たとえば、日常会話で「楽しいね」の一言で済ませてしまう感情も、絵本の中では「嬉しい」「わくわくする」「にっこり」など、より豊かな表現で触れることができます。
筆者として最も注目したいのは、この「1.71倍」という数字を言い換えれば、日常の何気ない会話だけでは、子どもの言語能力は約6割(※1)の言葉しか習得できないということです。
とくに、日常会話では省略されがちな「格助詞(が、をなど)がしっかり含まれている」絵本の複雑な文構造は、日本語の文法的な理解を自然と深める最高のトレーニングになります。読み聞かせの際は、豊富な語彙が自然と子どもの頭に入るように、リズムよく読んでいきましょう。
※1:「絵本の語彙:日常会話の語彙= 1.71:1」として逆算した結果(1/1.71=0.5847)
参考:DIAMOND online|そりゃ語彙力がつくわけだ…「絵本の読み聞かせ」研究でわかった“1.71倍”の納得データ
事例②ワーキングメモリも向上!同一絵本の反復が語彙力を獲得する基盤を形成する事例
同一絵本の反復読み聞かせは、単なる語彙力(どれだけの言葉を知っていて、どれだけの言葉を使いこなせるか)の向上だけでなく、子どもの言語的な「ワーキングメモリ(一時的に情報を記憶しながら、同時にそれを処理・操作する脳の機能)」を改善させる効果が示されています。
京都府立大学の研究では、同一絵本を反復して読み聞かせた子どもたちを対象に、認知課題の成績を比較しました。その結果、実験では語彙力が顕著に向上したことに加え、ワーキングメモリ能力と言語性短期記憶にも向上の可能性が示されました。
これは、反復した絵本の提示によって、子どもが繰り返し登場する言葉を覚えたり、思い出したりするという能動的な記憶作業が促され、語彙を獲得する基盤が形成されたためです。
この研究結果を拝見すると、子どもが「同じ本ばかり読んで」と持ってくるのは、実は「脳が賢く成長したがっているサイン」だとわかります。親の私たちはつい「またこれ?」と飽きを感じてしまいますが、それは子どもが「集中力や記憶力を伸ばすチャンス」だと捉えましょう。
参考:京都府立大学|幼児期における絵本の読み聞かせと認知能力との関連 ―ワーキングメモリと語彙力に関する検討
事例③親子の愛着形成と感情の改善!子どもの感情・社会性の発達に関する事例
絵本の読み聞かせは、子どもの情緒的な安定や社会性の発達に寄与すると同時に、親子の愛着関係を強め、子育てに伴う親の感情の改善にも効果的です。
千葉大学の研究では、読み聞かせが子どもの感情の安定や社会性の発達に深く関連することが示唆されています。絵本の世界を共有し、登場人物の感情に触れる体験は、子どもの共感性を高め、社会生活で必要なコミュニケーション能力の土台を形成します。
また、読み聞かせは親子の密接な時間となり、愛着関係(心の絆)を強めることが実験でも確認されており、子どもの状態が安定し、結果として親の子育てストレスが軽減するという報告もあります。
読み聞かせの時間は、子どもの情緒的安定と社会性の土台を育む貴重な時間であり、親自身もリラックスできる時間だと認識しましょう。筆者の経験上は、親が「今日は子どもとしっかり向き合えた」と感じる小さな達成感が、翌日の育児へのモチベーションにつながるケースも多いものです。
参考:国立大学法人千葉大学|絵本の絵が幼児の物語理解・想像力に及ぼす影響
読み聞かせが、子どもの知能と情緒の両方に良い影響を与えることが、研究結果から証明されましたね。 しかし、その効果を最大化するには「発達段階に合った正しい絵本選び」が大切です。絵本の定期購読サービスを利用すれば、月齢にあった最適な絵本が届きます。
すぐに実践できる!絵本の読み聞かせ効果を高める3つのステップ
ここからは、読み聞かせの効果を最大化し、子どもの成長を促すために、明日から実践できる3つのステップをご紹介します。
ステップ①子どもの発達段階に合わせた絵本を選ぶ
子どもの発達段階に合った絵本選びが、興味を引きつけ、読み聞かせの効果を高める最も重要な第一歩です。なぜなら、子どもの興味や理解力は、年齢によって大きく変化します。
たとえば、0~1歳では、まだ言葉を十分に理解できないため、色が鮮やかで輪郭がはっきりした、オノマトペ(擬音語・擬態語)が繰り返される本が適しています。
一方で、4〜6歳になると、複雑なストーリーやキャラクターの心情を理解できるようになるため、友情や家族のきずな、困難を乗り越える勇気などを描いた絵本がおすすめです。
最適な絵本選びのポイントを、以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
◆年齢別 絵本の選び方の目安
年齢 | 読み聞かせのポイント | おすすめの絵本の特徴 |
0~1歳 | 声のリズムや響きを聞かせる | 色が鮮明、輪郭がはっきり、オノマトペが多い |
2~3歳 | 生活習慣や感情を学ぶ | 日常生活の出来事、繰り返しが多い、リズムが良い |
4~6歳 | 想像力や社会性を育む | ストーリー性が豊か、知識を学べる、心情描写がある |
この目安を参考に、子どもが今、何に興味を持っているのかを日々の生活から観察し、それに合った絵本を選ぶことが、読み聞かせの集中力を高める結果につながります。
なお、子どもの成長に合わせた絵本の選び方については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
ステップ②物語の展開に合わせて声のトーンとスピードを変える
物語の展開や登場人物の感情に合わせて、読み手の声のトーンやスピードに変化をつけてあげれば、子どもの集中力と感情の理解が深まります。読み聞かせは、親子のコミュニケーションの質を高める行為であり、単なる文章の音読ではありません。
声に緩急をつけると、子どもは次に何が起こるかという期待感を持ちやすくなり、物語への集中力が高まります。たとえば、喜びや驚きの場面では、明るく高めの声で、少し速めに読んでみましょう。悲しみや静かな場面では、落ち着いた低い声で、ゆっくりと間を取りながら読んでみるのがおすすめです。
ステップ③読み聞かせ後に感想や質問で対話をする
読み聞かせが終わった後に、絵本の内容について対話をすれば、子どもの思考力と表現力がさらに養われます。絵本の物語を通して、子どもは登場人物の感情や出来事の因果関係を学びます。
読み聞かせ後に「この子は今、どんな気持ちだったと思う?」や「もし〇〇だったら、どうする?」といった簡単な質問を投げかけてあげれば、子どもは物語の内容を論理的に整理し、自分の考えを言葉にする練習ができます。
これは、絵本から得た語彙を「使える言葉」にするために重要なコミュニケーションの1つです。読んだら終わりではなく、少しの時間で良いので、子どもの言葉に耳を傾ける対話の習慣を持ちましょう。
ステップ①で解説したように、子どもの発達段階に合わせた絵本選びは、効果を最大化する大きなポイントです。しかし、成長に合わせて絵本を調べて選ぶのは、忙しい親御さんにとって大きな負担になります。 読み聞かせを楽しむ時間に集中できるように、絵本の定期購読サービスを利用してみませんか?
頑張りすぎない!絵本の読み聞かせをする際の3つの注意点
ここからは、読み聞かせの効果を維持し、子どもが本嫌いにならないために、親が意識すべき3つの注意点をご紹介します。
注意点①子どもが嫌がった時は無理に続けない
読み聞かせを「義務」や「勉強」にしないためにも、子どもが「もういい」というサインを出した時は、潔く中断しましょう。
絵本の読み聞かせで最も大切なのは、「楽しい」という気持ちと親子のコミュニケーションです。たとえそれが脳に良い効果をもたらすと知っていても、強制されては効果が半減します。
親の焦りや義務感は、子どもにとって「本=嫌なもの」という認識につながる最大の原因です。子どもが絵本から離れたり、ほかのことに興味を示したりした時は、「今日はここまで」と切り上げ、また次の機会に読む姿勢が大切です。
子どもの興味や関心は千差万別であり、「〇歳になったから物語を理解しなければ」というものではありません。
注意点②完璧な「読み手」を目指さず「親」として読む
読み聞かせはプロの朗読ではありません。完璧な抑揚や声色を目指すよりも、親の肉声で、愛情を込めて読むことが重要です。
子どもの脳に最も影響を与えるのは、身近な大人(親)の声です。機械の音声や他人の声では意味がないという脳科学的な見解もあり、親(または身近な大人)が読み聞かせをすることで子どもの安心感が育まれます。
少々たどたどしくても、多少疲れた声でも、子どもにとっては親の愛情が伝わる大切な声です。「うまく読めないかも」という不安を捨て、親子の絆を深める時間として楽しみましょう。
注意点③同じ本を繰り返し求めるのを「飽きた」と捉えない
子どもが同じ本を何度も持ってきた時は、「飽きている」のではなく「深く理解したい」というサインだと捉えましょう。とくに、2〜3歳頃の子どもは、一度で物語のすべてを理解するのは難しいため、同じ本を繰り返し読むことで安心感を覚え、物語の展開や言葉の反復学習をしています。
この繰り返しの中で、子どもは記憶作業を促され、語彙力の獲得につながることが前述した研究でも示されています。「またこれ?」と飽きずに、子どもが納得するまで付き合ってあげることが、知的好奇心と学習能力を育みます。
絵本の読み聞かせの効果でよくある3つの質問
絵本の読み聞かせをする際に、多くの親御さんが抱く素朴な疑問や潜在的な不安について、Q&A形式でご紹介します。
質問①読み聞かせはいつから始めるべきですか?
生後6か月頃までには始めるのが理想的です。この時期の赤ちゃんは、まだ言葉を理解していなくても、親の優しい声のリズムや抑揚に安心感を覚えます。そして、この時間が親子の愛着形成に深く役立ちます。
また、聴覚や視覚が発達途上にあるため、ゆったりとしたペースで読む声を聞かせてあげれば、言葉を聞き取る力や、はっきりした絵に興味を持つ力が育ちます。
質問②読み聞かせは毎日したほうがいいですか?
毎日の読み聞かせにこだわりすぎる必要はありません。なぜなら、大切なのは頻度よりも質、そして親子のリラックスできる関係性だからです。
親が「義務感」や「目標達成」のために焦ってしまうと、その緊張感が子どもに伝わり、かえって読み聞かせの時間がストレスになってしまいます。子どもが求めているときに、たった5分でも質の高いコミュニケーションとして行えれば、十分な効果があります。
なお、「絵本を読まない親でも大丈夫?」と不安を抱えている方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
質問③読み聞かせは何歳まで続ければ効果がありますか?
文字を自分で読めるようになった「小学生になっても続けること」が大切です。読み聞かせの効果は、子どもが自分で本を読めるようになったからといって終わるわけではありません。
子どもは、読んでもらうことで文字を追う負担から解放され、物語の内容や行間の機微(ひょうげんのうら)に深く集中できます。これは、知識を得る読書とは別に、想像力や情緒を深く育む上で重要な役割を果たします。
子どもが嫌がらなければ、親子の絆を深めるコミュニケーションの時間として、ぜひ長く続けてあげましょう。
絵本の読み聞かせ効果を最大限に!今日から3つのステップを実践しよう!
さまざまな研究から、絵本の読み聞かせの効果が科学的に証明されている事実をご確認いただけたかと思います。とくに、日常会話の約1.71倍の言葉の多様性に触れられること、そして「同じ本ばかり」とせがむ行動が子どものワーキングメモリ向上に直結している事例は、読み聞かせの重要性を明確に示しています。
そして、その効果を最大限に高めるためには、以下の3つのステップが効果的です。
・ステップ①子どもの発達段階に合わせた絵本を選ぶ
・ステップ②物語の展開に合わせて声のトーンとスピードを変える
・ステップ③読み聞かせ後に感想や質問で対話をする
さあ、今日のたった5分の読み聞かせが、子どもの「豊かな言葉の力」と「困難に負けない心」という、未来の大きな財産を育みます。親子の温かいふれあいの時間こそが、お互いの安心感を育み、親子の絆を強める最も確かな時間です。
今日、「やってみよう」と感じた気持ちを行動に変えることが、お子さまの未来を育む確かな一歩となります。 質の高い世界の絵本を、手間なく、継続的に読み聞かせられるように、絵本の定期購読サービスを検討してみてはいかがでしょうか。