「子どものイヤイヤ期がひどい」と感じて、悩まれている方もおられるのではないでしょうか。イヤイヤ期の程度には個人差があり、年齢によってもイヤイヤの現れ方が異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
本記事では、イヤイヤ期がひどい子の特徴をご紹介します。また、年齢ごとのイヤイヤ期の特徴や対処法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
イヤイヤ期がひどい子の特徴とは?
イヤイヤ期がひどいと感じる子どもは、自分の思い通りにならないときに、感情が爆発しやすく、癇癪を起こすシーンが多く見られるのが特徴です。たとえば、物を投げたり、泣き叫んだりする場合があります。
また、イヤイヤ期の子どもは、大人やほかの子どもとの関わりを避けたり、攻撃的な行動をとったりする場合もあります。
この時期は、感情をコントロールする力がまだ発達しておらず、不満を行動で表す場合が多いです。親にとっては大変な時期ですが、子どもの成長過程として受け止め、冷静に対応するようにしましょう。
イヤイヤ期の期間
イヤイヤ期は一般的に1歳後半からはじまり、2歳ごろにピークを迎えると言われています。しかし、その現れ方は子どもによってさまざまで、一概にすべての子どもが同じように起こるわけではありません。
発育のスピードや性格によっては、イヤイヤ期を感じにくい場合もあります。このため、ほかの子どもと比較して焦るのではなく、わが子の成長を見守る姿勢を持つことが大切です。
また、親自身がストレスを抱え込まないように、家族や周囲のサポートを活用しながら、ゆとりを持って向き合うようにしましょう。
なお、イヤイヤ期が早い子どもの特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:イヤイヤ期が早い子どもの特徴とは?接する際のポイントや注意点を詳しくご紹介!
子どもが「イヤ」という主張をする3つの理由
次は、子どもが「イヤ」という主張をする理由について解説します。
- 自分でやりたい
- 感情をうまく表現できない
- 周囲の気を引きたい
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.自分でやりたい
1半歳を過ぎると、子どもは少しずつ自分でできることが増え、身の回りのことに挑戦しようとする姿が見られます。着替えや食事、片付けなど、日常生活のあらゆる場面で「自分でやりたい」という気持ちが強くなる時期です。
このため、親が手を貸したら、「イヤ!」と強く拒否する場面が多いのも自己主張の表れの1つです。この時期の子どもは、失敗してもサポートしすぎず、挑戦する気持ちを尊重すると、自信を育めます。少しずつ成功体験を積み重ねると、さらに自立して成長していくようになります。
2.感情をうまく表現できない
イヤイヤ期の子どもは、眠気や疲労を感じても、それが何なのかわからないため、自分の感情をうまく言葉で表現できません。このため、自分の気持ちが整理できず、突然泣き叫んだり、手足をバタバタさせたりする場合があります。
さらに、判断力が低下して、親の声掛けにも敏感に反応しやすくなります。このような場合は、無理に言葉で納得させるのではなく、安心できる環境作りが大切です。たとえば、抱っこをしたり、静かな場所で落ち着かせたりしてあげてください。
3.周囲の気を引きたい
2歳頃の子どもは、自立心が芽生えつつも、まだまだ大人に頼りたい気持ちが強い時期です。しかし、自分の思いを言葉でうまく伝えるのは難しく、欲求が満たされないと不満を感じる場合もあります。
その結果、思い通りにならないと「イヤ!」と反抗的な態度を取ることが増える場合があります。これは、単なるわがままではなく、気持ちを受け止めてほしいというサインでもあります。子どもが安心して自己表現できる環境を整えてあげることが、親としての大切な役割の1つです。
年齢ごとによるイヤイヤ期の特徴
次は、年齢ごとによるイヤイヤ期の特徴について解説します。
- 0歳
- 1歳
- 2歳
- 3歳
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
0歳
0歳児がぐずる理由の多くは、まだ言葉で自分の気持ちを伝える手段がないために生じます。たとえば、思うように動けなかったり、何かに興味を持っても手が届かなかったりすると、強いフラストレーションを感じる場合があります。
この時期のぐずりは、一時的なものであり、欲求が満たされると自然に落ち着く場合がほとんどです。無理に泣き止ませようとせず、子どもの気持ちに寄り添いながら、興味を別のものへ向けるなどの方法でサポートしましょう。
1歳
1歳頃になると、自分でやりたい気持ちが強くなりますが、思い通りにできずにフラストレーションを感じる場合もあります。その結果、感情をうまく表現できずに泣いたり怒ったりします。
この時期の子どもに対しては、無理に要求を通す必要はなく、代わりに別の選択肢を提示すると気持ちを落ち着かせられる場合が多いです。たとえば、遊びたかったおもちゃが使えない場合は、ほかのおもちゃを提案して関心を移すのも1つの方法です。
また、子どもの気持ちに寄り添い「悔しかったね」などと共感の言葉をかけると、安心感を与えられます。保護者が冷静に対応しながらサポートすると、子どもは少しずつ気持ちをコントロールできるようになります。
2歳
2歳児の成長過程では、自我の芽生えとともに感情のコントロールが難しくなる時期です。自分の思いを言葉で表現したいのにうまく伝えられず、もどかしさから癇癪を起こすケースも珍しくありません。
この時期の子どもは、自分なりのこだわりを持ちはじめ、それが思い通りにいかないと強く反発する場合もあります。しかし、こうした経験を積み重ねると、子どもは少しずつ気持ちを調整する方法を学びます。
保護者としては、無理に抑え込むのではなく、子どもが落ち着くのを待ち、寄り添う姿勢を持つようにしましょう。このように感情の波が激しい時期も、一時的なものです。子どもが自分で感情を整理できるようになるまで、出来る範囲で温かく見守りましょう。
3歳
3歳児は自己主張が強まり、自分の思い通りにしたい気持ちが前面に出る時期です。このため、思い通りにならないと癇癪を起こしたり、言葉で伝えられないストレスから手が出てしまったりする場合もあります。
このような行動に対しては、「やってはいけないこと」を明確に伝え、代わりに言葉で気持ちを表現できるようにサポートしてあげることが大切です。「どうしてほしいの?」と聞いてもうまく言えない場合が多いため、「どっちがいい?」と具体的な選択肢を示すと、子どもは考えを整理しやすくなります。
また、お店でおもちゃやお菓子を欲しがって駄々をこねる場面もよく見られます。こうしたときは長々と説得するのではなく、「今回は買えない」とシンプルに伝え、場所を移動するなど環境を変えるのも効果的です。
少しずつ「望むことがすべて叶うわけではない」と理解できるよう、根気強く伝えていくようにしましょう。
子どものイヤイヤ期が大切な理由
イヤイヤ期は、幼児の発達において大切な段階であり、この時期の行動には成長の証が隠れています。子どもの意志を大人が否定せず、寄り添う姿勢を持つと、子どもは安心感を得られます。
しかし、危険性がある場合や家庭として守って欲しいことについては、根気よく伝え続けるようにしてください。この時期を経験すると、子どもは単なる身体の成長だけでなく、社会の中でのルールを学び、円滑な人間関係を築く基礎を身につけていきます。
イヤイヤ期がひどい子への対処法は7つ
次は、イヤイヤ期がひどい子への対処法について解説します。それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.安心感を与えてあげる
子どもが突然ぐずったり、大声で泣き出したりする場合、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。子どもがどのような理由で泣いているのかを考え、安心できる言葉をかけながらそばにいてあげましょう。
優しく声をかけたり、手を握ったりするだけでも子どもは落ち着きを取り戻しやすくなります。また、親自身も深呼吸をして気持ちを落ち着けることで、冷静に対応しやすくなります。
2.気持ちが落ち着きそうな場所へ移動する
イヤイヤ期の子どもが泣き叫んだり物を投げたりする場合、無理に落ち着かせようとするよりも、子どもが安心できる環境へ移動してみましょう。周囲が騒がしいと興奮が長引く場合があるため、静かな場所へ行くと気持ちを切り替えやすくなります。
親自身も周囲の目を気にせず対応できるため、落ち着いて子どもと向き合えます。このように、場所を変えて親子ともにリラックスできる時間を作ることも大切です。
3.わかりやすいルールを作る
小さな子どもでも、明確なルールを決めて繰り返し伝えると、少しずつ理解していきます。たとえば、公園から帰るのを嫌がる場合、事前に「時計の針がこの位置になったら帰るよ」「あと〇回したら帰るよ」と知らせておくと、子どもも受け入れやすくなります。
また、「お菓子はおやつの時間に食べるもの」と決めておくと、欲しがるたびに対応する必要がありません。日常のなかで一貫したルールを守るようにすれば、子どもは自然と決まりごとを意識して、自分で行動をコントロールできるようになっていきます。
4.できるところまでやらせてあげる
1歳や2歳の子どもは、自分でやりたいという気持ちが強くなり、日常のさまざまな場面で「自分で!」と言い出します。靴を履いたり、服を選んだりするのもその1つの行動です。
大人にとっては、時間がないときに手間取る場合もありますが、この姿は子どもの成長の証です。できるだけ穏やかな気持ちで見守り、子どもが納得できるようにサポートしてあげると、次の行動へ移しやすくなります。
5.遊び感覚を取り入れる
子どもが自分のやりたいことに夢中になっている場合、急に声をかけても、なかなか行動を変えようとはしないものです。そんなときは、無理に説得するのではなく、子どもが興味を持つような工夫をしてみましょう。
たとえば、片付けなら「どっちが早くおもちゃを箱に入れられるかな?」と競争にする、歯磨きなら「歯ブラシさんがみんなの歯をピカピカにしたいって!」と擬人化するなど、ちょっとした遊びを取り入れると、子どもも楽しく次の行動に移しやすくなります。
6.気持ちを代弁してあげる
子どもが自分の気持ちをうまく言葉にできないときは、大人がその思いを代弁してあげるようにしましょう。たとえば、おもちゃを取られて泣いている場合、「それ、大事なおもちゃだったんだね」と伝えると、子どもは自分の気持ちを理解してもらえたと感じます。
気持ちを言葉にすると、子ども自身も感情を整理しやすくなり、落ち着きを取り戻すきっかけになります。大人が優しく寄り添い、共感する姿勢を持つと、子どもとの信頼関係も深まりやすいです。
7.選択肢を与えて選ばせてあげる
子どもがスムーズに行動できるようにするためには、強制するのではなく、本人の意思を尊重しながら促す方法が効果的です。
たとえば、遊びに夢中になっている子どもに片付けをしてほしい場合、「今すぐ片付けなさい」と指示するのではなく、「あと5分遊んだら一緒に片付けよう」と具体的な時間を提示すると、子どもも納得しやすくなります。
また、「どっちのおもちゃから片付ける?」と子どもが自分で選択できるような工夫を取り入れると、自発的に行動を始めるきっかけになります。このように、子どもの気持ちに寄り添いながら、適切なタイミングと方法で促すことが大切です。
イヤイヤ期に叩く子は暴力的になる?
イヤイヤ期の子どもが感情をコントロールできずに手を出したり、ものを投げたりするのは珍しくありません。この時期は、思い通りにならないもどかしさを行動で表現しているだけのため、過度に心配する必要はありません。
成長とともに言葉の発達が進み、自分の気持ちを適切に伝えられるようになります。このため、叩いたりした際には冷静に「そういうことをすると痛いよ」と伝え、安心できるように寄り添いましょう。
子どものイヤイヤ期にストレスを感じた場合の対処法
イヤイヤ期は、子どもが成長している証と理解していても、親がストレスを感じるケースは多いものです。子どものイヤイヤ期にストレスを感じた場合は、以下の対処法を試してみてください。
- 周囲に頼る
家族に協力をお願いしたり、保育園の一時預かりやベビーシッターを活用したりして、負担を分散させるようにする。適度にリフレッシュすると、冷静に子どもと向き合いやすくなる
- 冷静に子どもと向き合う
イヤイヤ期の子どもは、自分の意思をうまく伝えられない場合がある。このため、過剰に反応するのではなく、「〇〇したかったんだね」と共感しながら、落ち着いて会話をするように意識する
- 干渉しすぎない
自立の心が芽生える時期でもあるため、危険なこと以外は、見守る姿勢を大切にする。何でも制止しようとすると親子ともにストレスに感じる
まとめ
本記事では、イヤイヤ期がひどい子の特徴や対処法について解説しました。
イヤイヤ期がひどいと感じる子どもは、自分の思い通りにならないときに、感情が爆発しやすく、癇癪を起こすシーンが多く見られるのが特徴です。たとえば、物を投げたり、泣き叫んだりするケースが多い傾向にあります。
さらに、大人やほかの子どもとの関わりを避けたり、攻撃的な行動をとったりする場合もあります。しかし、成長とともに言葉の発達が進み、自分の気持ちを適切に伝えられるようになれば、暴力的な行動はおさまりやすいです。
「イヤ」という主張には、感情をうまく表現できない、周囲の気を引きたいなどの理由があげられます。また、年齢によって、イヤイヤ期の特徴は異なるため、子どもの年齢や性格に合わせた対処が必要です。